建築確認済証と検査済証があれば大丈夫⁉
「この物件は、欠陥住宅ではないか?」と尋ねると、
(水戸黄門の印籠のように)
「建築確認済証と検査済証が交付されていますから、大丈夫ですよ!」
ほぼすべての営業マンから、この言葉が返ってきます。
日本の建売住宅の7割から8割が何らかの問題を抱えていると言われていますが、その家のほとんどが、その「建築確認済証と検査済証」が交付されています。
これが、どういうことなのか皆さんは理解できると思います。
そうです・・・
「建築確認済証と検査済証が交付されている」だけでは、足りないのです。
建築確認とは、一定の建築物を建築(増改築を含む)する際、工事の着工前に建築計画が建築基準法などの法令で定められた建築基準(建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準)に
適合しているかどうかを審査するものです。
その基準を充たしていれば、確認済証が交付されます。
提出された書面上で建築物の計画内容を確認するものです。
着工前に、建築士が「こんな建物を建てる計画をしてますが、法令上問題ないですか?」と
行政機関や行政から委託された審査機関に必要な書類を提出し審査してもらいます。それを建築確認申請といいます。
その建築確認申請が審査をパスしたら、建築確認済証が交付されます。
建築確認済証は、単純に、工事の許可をもらうというものです。
そして、建築工事が完了したら工事の完了検査をします。
その工事が建築確認申請の通りに行われ、建築基準法などの法令に適合しているかどうかを検査し、合格した場合に交付されるものです。
検査済証が交付されれば、お墨付きをもらったような感じがしますが、実は、そうではありません。
完了検査では、建築確認申請通りに工事が完了したかどうかを「間取り」「開口部(窓)」「建物配置」などを中心に事務的に確認するだけです。
その検査の項目には、断熱材や不燃材の使用の有無、床下の水漏れなどは検査内容に含まれていません。
なので、断熱材を使用していなくても、床下で水漏れがあっても、完了検査に合格すれば、検査済証が交付されます。
建築確認済証や検査済証があるからといって、欠陥住宅ではないという保証にはなり得ないのです。
- 前の記事:住宅の検査 欠陥住宅の予防法
- 次の記事:口を出されるのを嫌う建築現場